遠い夜空のオリオン

幼馴染との淡い想い出を綴る私家版郷土史

2012-01-01から1年間の記事一覧

正月に見た、あの人の涙

私は20台に結婚した。正月、実家に帰り、友人と映画を見て、食事することになった。問題は、その途中で起こった。あの人が、街中の一角で、私を見つめ、私だとわかると泣き出してしまったのである。何年ぶりかで見た、あの人は、別人のような美人だった。…

想いがとどく日

想いがとどく日 私は、今年、結婚30年目の年を迎え、伴侶とこの曲を聴く。過ぎ去ったそして楽しかった時代のことを語り合いながら………。しかし、同時に私は、この曲を本当に一緒に聴くべき相手はあの人だったのかもしれなかったもしれないという後悔の念を…

想いのとどく日

切ない曲喜び溢れる曲はたくさんあれどそれを一曲の中に凝縮した曲は滅多にない。「想いがとどく日」という、100年近い前のタンゴの名曲があることをご存じだろうか?この曲は、最初はぎこちない緊張感で始まりしだいに切なくなりその切なさが恋する喜び…

想い出の靴

私には想い出の靴がある。25年以上履き続けた冬靴がそうなのだ。だが、綻びがひどく、歩行に差し支える事態となったので捨てることにした。ただ捨てるのはもったいないので、その靴を履いて、最後の散歩をすることにした。その靴とは、あのリーボックが日…

さようならと言えない

生きていてもっともつらいことそれは、あの人と破局を迎え希望を失うこと好きなものはずっと好きでいたい。ただそのことだけに私は、こだわった。私は、知らず知らずのうちにあの人を高嶺の花にし自分のこころの中の人形ケースにしまい込んでしまった。あの…

最後のラブレター Part2

人生二番目の記憶は、たった一度一緒に遊んだあの幼馴染みの人との出会いだった。確か四歳の時だったと思う。風が強く、小雪が舞う、師走の週末、買い物の用事で父に連れられ、不思議な屋根の形をした大きな店に行った。父が価格交渉している間、私は父に言…

最後のラブレター part1

40歳の誕生日に3日続けて、さめざめと泣くあの人の夢を見たこと50歳の誕生日に見た、アルバムの最後の頁が高校の修学旅行の集合写真だったことから、私は、あの人に手紙を書くことにした。あの人が私にとってどういう人だったかを伝えるためにである。…

Moon River

説明するまでもない、有名な映画の主題歌である。オードリ・ヘップバーンの魅力が随所に垣間見れる映画でもある。映画を見ているだけで、若かりし頃の恋心がほんの一瞬甦る。夢心地になり、今度、恋ができるなら、こんなスラッとした肢体に知的さとエレガン…

銀杏の並木道

昨日、母校の銀杏並木道を歩いた。道は、落ちた銀杏の葉で敷き詰められていた。道は柔らかかった。踏みしめる音が過去の扉を叩く音のように聞こえた。一歩歩く度に、忘れ去っていたことが一瞬甦っては消えた。銀杏の葉一枚一枚が一生懸命生きた一瞬一秒のよ…

あの人にプレゼントしたいもの

こんなことを書くと不謹慎かもしれないことは承知しているが、あの人に贈りたいものが一つだけある。帽子である。レインコートとハイヒールが似合う、長い黒髪の涼しげなあの人に似合いそうなものを選んでみた。根雪になる前は、きりっとした顔立ちなので、…

淡い露草色のコートを着た女性

最近、私はある女性と3回デートした。といっても夢の中の世界である。場所は、エスカレーターで上がる大きなデパートの三階の喫茶店。彼女はいつも淡い露草色のコートを着て現れる。体型はやせ形色白で顔はやや面長でほりが深く切れ長の目髪は黒髪、肩にか…

初恋 一人言葉遊び

初恋というタイトルがついている詩は多いが、その中で傑作だと思うのは、帷子耀(かたばみ あき)という詩人による「初恋」という詩である。この詩人は、十代でデビューした後、突然、詩壇から消えた謎の人物である。さて、この詩の優れていることは、初恋と…

墓参り 一編の詩

水曜日に墓参りした。生い茂った雑草を抜きながら、ふと、一編の詩を想い出した。嵯峨信之という詩人の「旅の小さな仏たち 他三編」である。愛する人の死、葬儀、火葬、墓参りに仏教的要素をブレンドし、遠い光に乗って死後の世界に旅立つ世界を描いた詩であ…

水曜日の墓参り

私は、墓参りは水曜日にすることにしている。理由は、あの人ならわかることなのでここでは書かない。今年は、数回、墓参りに行った。それから、高校の近くにあった喫茶店2店のどちらかでで昼食をとるはずだったがその店はもうない。それから、一方通行通り…

夏の想い出 Part2

私は、記憶を辿って歩く。あの家の軒先がどんどん近づいてくる。私はプランターにある花を見つけ、一瞬立ち止まり、ゆっくりとその家の前を通り過ぎる。それから、子供の時にしたように、振り返って眺め、数十年前にここに居たことを確認し、再び歩き始める…

夏の想い出 Part1

今年も暑かった夏が終わろうとしている。今年の夏は、息子の嫁さんを含め、大家族で墓参りした。記念の写真も撮った。新しい時代となったからだ。しかし、何かもどかしい気がしたので、用事を見つけ、行ってみた。そこには、毎回のように、同じ場所のことが…

美人の絶対条件

たぶん、このブログを読まれている方は女性が多いと思われるので、ご参考になるかどうかは別として、私なりの美人の絶対条件をあげさせていただく。私が考える、美人の絶対条件とは、顔のつくりではなく、少し離れた所から眺めたときに、体型的にバランスが…

ひとみちゃんのこと

近所の女の子で決して人を陥れるところがなかったのが「ひとみ」ちゃんである。いつも鼻水をたらし、ぐずぐずしていた子だったが年頃になると見違えるようにかわいらしくなった。頭もそこそこ良く、勉強すればできた子なのだろうが姉と同じ轍は踏むまいと決…

電話をかけるときのときめき

若いときは電話一つするのに随分ときめいた。話す前から今日は何の話しにしようか今日はどんな冗談を言おうかどこに誘おうかいろいろ考えた。考えるだけで楽しかった。『Call me』 という曲は、電話をかけるときのときめきとメロデイラインが微妙にマッチし…

恋のかたち

3年ぶりに恋に落ちたものの心の中はまったくぎこちなかった。どうしていいかわからないことの連続だった。勝手がわからなかった言っていいだろう。そんな時一人の女性をどう見るか、どう扱うかについてはっと気づかせてくれたのがこの曲だった。この曲の歌…

どうやって夢中だった人を忘れ去ることができたか?

誰でも夢中になった異性の一人や二人はいると思う。今になって思えば、中学時代に夢中になった女の子のことは青春の古傷のような存在なのだが、当時はきれいさっぱり、忘れ去ることができなかった。だから、人一倍悩んだ。あえて恋をしない時期を過ごしたの…

転校を告げる挨拶をした女の子のこと

中学時代、私は生徒会役員をしていた。当然、下の学年の生徒との交流が増える。生徒会役員は選挙で選ばれるので、知名度もある。あるとき、生徒会役員の仕事をしていたときに、名も知らぬ、ある女子生徒から転校の挨拶を受けた。私は彼女のことはまったく記…

数十年ぶりに神社に参拝したこと

私は、神社に参拝することは滅多になかったが、あの日だけは違った。高校の卒業式の日、あの人にそっと別れを告げた後、虫の知らせのようなものがあり、促されるように街中から離れた丘の上にある神社に歩いて参拝した。途中、あの人の家の横を通り過ぎ、橋…

Fire & Rain 情熱と罪

Fire & Rain は James Taylorというシンガーソングライターが作詞作曲した歌である。愛した人が自殺し、遺された自分の気持ちを切々と歌う名曲である。私は、高校時代、この曲を毎日のように聴いた。この曲を聴くと、なぜか不思議と落ち着いた。それから失意…

とわの愛のために 恋はフェニックス

ずっと愛していたのにずっと再会を望んでいたのにどうにもならなかった私にとってあの人の存在があまりに大きすぎたのだ。おまけにあの人にとっても同じようなことが実は起きていた私は別の道を選びそのことで私はあの人を悲しませあの人は孤高のまま人生を…

敦子ちゃんのこと

私と敦子ちゃんは小学一年生の時からの知り合いである。私が通っていた書道教室に、彼女は弟さんと二人で来ていた。二人はおとなしく、いつも礼儀正しかった。それと比べると、私はいい加減でお調子者だったかもしれない。私は、自分ではうまい字だとは思わ…

ささやく声

私は、三つのささやく声に出会った。一つ目は、あの人と対面した時に出てくるささやき。本当はあってはならないことなのだが、耳の奥で、「この人はあなたが結婚する人ではない。」と何度も何度も囁かれた。その声を聞くと、魔法にかけられたように私は、そ…

啓子ちゃんのこと

小学校5、6年の頃に同じクラスになった女の子である。たった、2年間のお付き合いだったが、彼女は、修学旅行や遠足になるとなぜか私の隣にいて写真に収まっていた。彼女は、私よりも一足先に大人になりその後の人生について目覚め私のことを男として意識…

礼子ちゃんのこと

近所に、同じ年の女の子が3人いた。その中で一番安心できたのが礼子ちゃんだった。色白でふっくらして、目がパッチリした綺麗で穏やかな子だった。他の2人は、トランプ遊びしながら途中でルールを変える狡猾なところがあったり乱暴狼藉者で母親に小遣いを…

故郷から想い出が次々と消えてしまった

私の故郷の街は、大規模都市開発がなかったので、街並みは昔のままだ。だが、昨今の構造不況で中心街がどんどん寂れていくばかりだ。まず、最初に、中学1年の時に母に時計を買ってもらった宝石店が閉店した。それから後を追うように、高校生時代まで靴を買…