遠い夜空のオリオン

幼馴染との淡い想い出を綴る私家版郷土史

啓子ちゃんのこと

小学校5、6年の頃に同じクラスになった女の子である。
たった、2年間のお付き合いだったが、
彼女は、修学旅行や遠足になると
なぜか私の隣にいて写真に収まっていた。

彼女は、私よりも一足先に大人になり
その後の人生について目覚め
私のことを男として意識した最初の女性のようだった。
私の隣に立っていて、頬が紅潮することが何度かあったので
私の方で気がついてしまったのである。

その後、彼女は女子中学、女子高に進学し
地元で就職した。

性格はしっかりしていて、それでいて細やかな心配りができるいい人だった。
そして、美人だった。

私は、実は彼女のことは嫌いではなかった。
彼女と出会ったとき、私がまだ幼かった。
ただそれだけのことだった。

彼女は、小学校卒業後、10年以上ずっと
私からのプロポーズを待っていたことを後で知ったが、
私は、別の人のことで頭が一杯で、
彼女のことを振り返る余裕はなかった。

そして、困ったことに「あの人」と髪型や顔つきがそっくりだった。