遠い夜空のオリオン

幼馴染との淡い想い出を綴る私家版郷土史

礼子ちゃんのこと

近所に、同じ年の女の子が3人いた。
その中で一番安心できたのが礼子ちゃんだった。

色白でふっくらして、目がパッチリした
綺麗で穏やかな子だった。

他の2人は、
トランプ遊びしながら途中でルールを変える狡猾なところがあったり
乱暴狼藉者で母親に小遣いをたかるチンピラみたいなところがあり
私は、内心、この2人のようなタイプとは間違っても結婚しないと決めていた。

そして、案の定、この2人は、年頃になると
猫なで声で喋り出し、気味悪く思ったものである。

一方、礼子ちゃんはいつも私に対しては
控えめで待ちのスタンスだった。
誘惑しようともせず、彼女は実に奥ゆかしかった。

私は、礼子ちゃんのことは嫌いではなかったが、
そんなに好きだという訳でもなかった。
あの2人のあまりの性格の悪さに辟易し
無意識に礼子ちゃんとの世界に安住のひとときを見出そうとしたのかもしれないと振り返りながら思うのである。

なお、この3人は分類上幼馴染みではあるが、この3人の記憶の前に、たった一度一緒に遊んだ幼馴染みのあの女の子が存在していることを最後に告白する。