遠い夜空のオリオン

幼馴染との淡い想い出を綴る私家版郷土史

2013-10-01から1ヶ月間の記事一覧

想いと諦観

私は、4歳のときにあの人に出会った。あの人は、私を見るなり私の手を引き何も語らず身振りだけで一緒に遊んだただ一度遊んだ幼馴染みである。それ以来あの一途な眼差しを忘れたことはない。毎年のように夢に見ては想い出しその後も病院の待合室、街角、英…

丘の上の神社の想い出

私は小さい頃、近所の悪ガキと一緒に、小高い丘の上によく虫捕りに行った。丘の上で飲む湧き水は、いつも美味かった。後年、黒部峡谷の有名な湧き水を飲んだことがあるが、味は負けていないと思った。丘のはずれにマタギの家があり、いつも動物の毛皮が乾し…

古い家のなかで

私は、詩が好きだった。しかし、ある不本意なことがきっかけで、詩を書くことも読むこともやめた。このままでは、自分が壊れそうな気がしたからだ。そんな折、リルケの詩に出会い、詩のかたちを見直した。感情的、感傷的ではなく、理性的かつ視覚的に描く作…

「ミラボー橋」 アポリネール

海外旅行した際、夕方6時頃に、ホテルの部屋にて教会の鐘の音を聞き、ほっとしたことが何度かある。そんな時、窓から教会の伽藍を眺めつつ、堀口大学訳の名詩「ミラボー橋」を思い出す。「日も暮れよ 鐘も鳴れ 月日は流れ わたしは残る」の箇所は、時、悔恨…