遠い夜空のオリオン

幼馴染との淡い想い出を綴る私家版郷土史

直子ちゃんのこと

小学校1~2年の頃、私は近所の直子ちゃんと仲良しになった。
直子ちゃんの家は、大きな3角屋根の家だった。お父さんは公務員で苗字は有名な武家と同じだった。

明るくまったく気疲れしない子で、近所の意地の悪い女の子とは別格だった。

私は、直子ちゃんがいたおかげで、学校までの20分の道のりが長いと思わなかった。
毎日、毎日が楽しかった。
直子ちゃんといつもおしゃべりしながら歩いていたからだ。

だが、小学校3年の春のある日、直子ちゃんが転校することを知らされ、それからというもの、学校まで歩くのが面倒な日々がしばらく続いた。

やがて、直子ちゃんのことは記憶の彼方になってしまったが、ふとしたきっかけで彼女のことを想い出し、こうして書き留めている。

彼女は私のことは覚えていないかもしれないが。私は、彼女の大きな瞳、太い眉毛、素直な性格だったことは生涯忘れることはないだろう。