遠い夜空のオリオン

幼馴染との淡い想い出を綴る私家版郷土史

どうやって夢中だった人を忘れ去ることができたか?

誰でも夢中になった異性の一人や二人はいると思う。

今になって思えば、中学時代に夢中になった女の子のことは
青春の古傷のような存在なのだが、
当時はきれいさっぱり、忘れ去ることができなかった。

だから、人一倍悩んだ。
あえて恋をしない時期を過ごしたのも彼女のことを忘れるためだった。

忘れられないから次の恋に進めず、
やっと巡り会った、
結婚すべき相手が目の前にいても一瞬躊躇したのだった。

だから、私は、何としても彼女を忘れ去るために行動するしかなかった。

実際、彼女に手紙を書き
彼女から信じられないくらいのボリュームの返信が届き
私は彼女が指定する場所に会いに行った。

場所は教会だった。
私は信者ではないが、宗教的関心はあった。

ところが、彼女は私に対し冷淡だった。
私は、その理由が理解できなかったが、
私は、彼女と現実生活、特に人生の試練を乗り越えて
生きていくことが不可能なことを悟り、別の女性と婚約した。

しかし、私の婚約を知った彼女の反応は意外なものだった。
あれだけ冷静に振る舞っていた彼女が周囲にわかるほど動揺した。

だが、私の決心は固かった。

私は彼女のことは嫌いではなかった。
ただ、その昔、
何度も、振り回されたこと
特に、将来を決める大事な場面で繰り返された記憶がどうしても先立ち、
どんな些細なことでも二度と許せない気持ちになっていた。

それでも、別れ際に彼女は、慌てふためいた様子だった。

彼女は昔も今も子供のままだったのだ。

私はがっかりした。
と同時に私はやっと彼女のことを忘れ去るこどができると思ったが、その一方、
もし、彼女が「結婚おめでとう。私は、あなたのことはずっと想っていたが、縁がなかったもの思い、あなたのことは諦めます」
と大人の言葉で語ったならば、私は迷ったかもしれなかった。
が、彼女がそう言わなかったことで私は夢中だった彼女のことを忘れ去ることができたのだった。