遠い夜空のオリオン

幼馴染との淡い想い出を綴る私家版郷土史

壮年期

今年の初夢は高校卒業式の早朝の夢だった。

もうすぐ高校卒業式の日がくる。今年の初夢は高校卒業式の早朝の夢だった。卒業式後に離れることになる街並みを一目見ておこうと夢の中の私は、早起きし、英語の本を持参、夜明け直後の街を歩いた。橋を渡り、市役所がある通りを抜けた。今まで一度も通った…

あの人にプレゼントしたい曲

故郷の想い出とともに孤高に生き生涯を終えるかもしれないあの人にプレゼントしたい曲がある。この世ではかなわなかった、結婚の曲あの世で、再び、幼馴染みの場面から出会い再び英会話学校再び高校で会うとことからやり直したい。あの人との結婚はかなわな…

想い出の靴

私には想い出の靴がある。25年以上履き続けた冬靴がそうなのだ。だが、綻びがひどく、歩行に差し支える事態となったので捨てることにした。ただ捨てるのはもったいないので、その靴を履いて、最後の散歩をすることにした。その靴とは、あのリーボックが日…

最後のラブレター Part2

人生二番目の記憶は、たった一度一緒に遊んだあの幼馴染みの人との出会いだった。確か四歳の時だったと思う。風が強く、小雪が舞う、師走の週末、買い物の用事で父に連れられ、不思議な屋根の形をした大きな店に行った。父が価格交渉している間、私は父に言…

最後のラブレター part1

40歳の誕生日に3日続けて、さめざめと泣くあの人の夢を見たこと50歳の誕生日に見た、アルバムの最後の頁が高校の修学旅行の集合写真だったことから、私は、あの人に手紙を書くことにした。あの人が私にとってどういう人だったかを伝えるためにである。…

あの人にプレゼントしたいもの

こんなことを書くと不謹慎かもしれないことは承知しているが、あの人に贈りたいものが一つだけある。帽子である。レインコートとハイヒールが似合う、長い黒髪の涼しげなあの人に似合いそうなものを選んでみた。根雪になる前は、きりっとした顔立ちなので、…

淡い露草色のコートを着た女性

最近、私はある女性と3回デートした。といっても夢の中の世界である。場所は、エスカレーターで上がる大きなデパートの三階の喫茶店。彼女はいつも淡い露草色のコートを着て現れる。体型はやせ形色白で顔はやや面長でほりが深く切れ長の目髪は黒髪、肩にか…

水曜日の墓参り

私は、墓参りは水曜日にすることにしている。理由は、あの人ならわかることなのでここでは書かない。今年は、数回、墓参りに行った。それから、高校の近くにあった喫茶店2店のどちらかでで昼食をとるはずだったがその店はもうない。それから、一方通行通り…

夏の想い出 Part2

私は、記憶を辿って歩く。あの家の軒先がどんどん近づいてくる。私はプランターにある花を見つけ、一瞬立ち止まり、ゆっくりとその家の前を通り過ぎる。それから、子供の時にしたように、振り返って眺め、数十年前にここに居たことを確認し、再び歩き始める…

夏の想い出 Part1

今年も暑かった夏が終わろうとしている。今年の夏は、息子の嫁さんを含め、大家族で墓参りした。記念の写真も撮った。新しい時代となったからだ。しかし、何かもどかしい気がしたので、用事を見つけ、行ってみた。そこには、毎回のように、同じ場所のことが…

50歳の誕生日に見た夢

私は、40歳の誕生日に、3日間続けて、あの人の夢を見たが、実は50歳の誕生日にも夢を見た。今度は母が夢枕に立った。寝入った直後だったと思う。突然、遙か上方から、大きな白い紙袋が降りてきた。その中に、臙脂色の物と白い物があることを私は確認し…

彼女とデートしたかったレストラン

もし、もう一度昔に返って、彼女とデートできるならあの店にしたいと思っていた店があった。その店は、高校時代、洋食のコースメニューのレストランだった。店の名は、有名な水彩絵の具メーカーと同じだった。外から見える店内はしゃれていて、なんとなくパ…

あの人の店は粋だった

あの人の店は、地元では知らぬ者がいない老舗で、昔は、従業員を雇用していたが、今は、親戚一同だけでこじんまりと営業している。私は、自分が誰であるか名乗ったことはないので、あの人以外のあの店の人たちが、私のことを知るはずはないのだが、その老舗…

良妻賢母の復讐

私は、オフイスラブ完全否定派である。理由は、それなりにスリリングだが結構面倒臭いこと、うまくいっているときはいいが一旦壊れるとやり直しが難しいからだ。また、女性社員の噂話は、あっと言う間に社内に周知される社風であったこともオフイスラブを躊…

夢の中で昔の仲間に出会った話

今朝、夢を見た。昔の仲間がたくさん、見舞いにきてくれた夢だった。私は、どこかホテルのような病院に入院している設定だった。事実、私は、その晩、風邪で寝込んでいた。そこに、わずか5分ほどの間に、50人前後の人たちが見舞いに訪れたのだ。かつての…

風のいたずら

同窓会に行くと、学生時代美人だった人が見る影もなくなり、そうでもなかった人が普通のオバサンになっているとする説が定説のようだが、大学時代のあの人は違った。ある時、車でドライブしていたとき、日曜学校の門を開け、小学校六年生くらいの息子さんと…

人は出会うべくして出会うべき人に出会う

高校時代、学力テスト上位で聡明、努力家、そして女性としても魅力的な女の子と同じクラスになった。私の志望校を知り、2つのアドバイスをしてくれた。しかし、結果的に、私は、普通の人生を選んだ。それから、数十年近くたち、ある会合で出会った年配の方…

髪を切ったあの人に伝えたいこと

若い頃、ある女性に恋していた。しかし、その女性は、高嶺の花だった。普通のサラリーマンの奥さんにはふさわしくない人だった。そこで、私は賭けをした。志望校に入学できれば、彼女を射止めようと思った。落ちれば、あきらめようと思った。結果は、落ちて…

M子の涙

私は女の涙は好きではない。涙を見ると、その主張に負けそうになるからだ。しかし、M子の涙は違った。潔かった。私とM子は、30年前に出会った。一目見て、早まったと思った。しかし、どうにもならなかった。あるとき、電話で問い合わせをしたら彼女が怒…

あるブログを閉鎖したときに想ったこと

あるブログを閉鎖したときに想ったこと今日、別のあるブログを突然閉鎖した。ある事情があり、続ける意味もメリットもなくなっていたのだ。ブログ閉鎖については、閉鎖予告も、挨拶もしなかった。ブログを閉鎖した直後の心境は、転校することがわかっている…