遠い夜空のオリオン

幼馴染との淡い想い出を綴る私家版郷土史

壮年期

別れのランチ Part2

寿退職することになった女子社員を昼食に誘って御馳走したことが何度かあった。 二回目に選んだ女の子は、議員の娘さん。容姿的には美貌の部類に入る。が、議員の娘さんと聞いて交際を申し込む、度胸ある男は会社には少なく、婚期を逃しそうな状況にあった。…

喫茶店の想い出

会社近くのデパート街の仲通りに、その喫茶店はあった。 メニューは、チャーハン、スパゲテイ・ミートソース、中華丼、豚丼など。食後のコーヒーとセットで700円くらい。 昼休み近くになると、職場を抜け出し、私はその店に何度も通った。 喫茶店のママさ…

別れのランチ Part1

同じ職場に、実家が比較的近所の、同期入社の女子社員がいた。 ご家族は皆さん良い人。母はそう言っていた。彼女は、そこそこ美人。明るくて性格が大変良く、酒が滅法強いことで有名だった。社内恋愛の噂はまったく立たなかった。 私はというと、職場で年齢…

「北斗星」の想い出

星座の北斗七星のことではない。 上野発札幌行の豪華寝台特急「北斗星」のことである。 一度だけ乗車したことがある。 上野で駅弁を買い、発車後、食べた。大宮までは明るかったが、それ以降は景色は一変。函館あたりで日の出を迎え、長万部でカニ飯を買い、…

東京タワー水族館の想い出

東京に住んでいた方なら、東京タワー見物がてら一度は水族館にも立ち寄られたことと思う。その東京タワー水族館が今月末で閉館になるそうだ。 【悲報】東京タワー水族館、閉館。http://alfalfalfa.com/articles/231916.html この水族館の良いところは、一等…

旭川に出張した想い出

先日、「列車で旅する北海道」という本を古本屋で購入。 なつかしい列車と駅舎の写真を見つけ、旭川に仕事で出張した時代のことを思い出した。 出張したのはたった1回。出張先は支店。支店の人が気を使って、お昼時に台場のおいしい蕎麦屋さんに連れて行っ…

幼馴染の恋

幼馴染の女の子は数人いた。その中で恋心らしき感情を抱いたのはそのうちのたった一人。 それもたった一度遊んだ、名も知らぬ女の子に。 まさか、その人に再会することになろうとは。その人が私に初恋したことは、驚き以上にあり得ない偶然だった。 同級生か…

いつか旭川で住んでみたい場所

久しぶりに市内のホテルにて宿泊、想い出の場所を2時間ほど早朝散歩した。 空き地が増えていることから、古い建物がどんどんなくなっていることを改めて知った。 事情が許せば、老後のある期間、旭川に住んでみたいと思っている。 以下に紹介する、 「サー…

三度現れた女性の想い出

当時は意識することはなかったが目の前に三度現れた、気になっている女性がいる。 聡明で、スラッとした、育ちの良さそうな女性だった。 最初に現れたのは高校時代だったと思うが、それ以前にどこかで見かけていたかもしれない。気がついた時には、見かけな…

真夜中の置手紙

今日の真夜中夢を見た突然夢が始まり一瞬あの人が現れ直後に目が覚めた時刻は夜中の1時30分 あの人は置手紙を読み声を発し一瞬時空間が破られメッセージが届けられた 悲しいことだけでなくどうにもならないことが起きていることも気がついている 近況変化…

想い出の場所で再会した人

置手紙を読み最後の訪問となる覚悟で幼馴染と出会った想い出の場所を金曜の午後に訪ねることにした しかし、そこは闇に包まれ立ち入ることはできなかった幼馴染に会うこともかなわなかった 代わりに生涯傍らにおくつもりであるものを入手 誰もいない片隅で幼…

幼馴染と遊んだ「想い出」が消える

ふるさと旭川は想い出が次々と消える場所になってしまった 毎年のように倒産、廃業が続く 今年もまた一つ想い出の場所が地図から消える 今度は幼馴染と出会いたった一度遊んだ運命の場所 そこはある建物の二階にある 先代が亡くなられた時からこうなることは…

こういうおじいちゃんになりたい

BGMとしても、鑑賞に堪える弾き語りだと思います。 "For Two In Love"https://www.youtube.com/watch?v=K7nrPvFLnOE 高音のハーモニクスが渋い。 この演奏が好きな方は、こちらはどうでしょうか? Tony Mottola - Medley: Moon River, What are you Doing…

新婚時代の想い出

新婚時代のことはあまり覚えていない ので 忘れないために ときどき、用事のついでにその場所を訪れるようにしている その場所は かつては長屋みたいな家だらけだった 私たち夫婦はその一角に住んだ 隣にいるお年寄りから、花の苗をいただき それを植えた 翌…

誕生日に見た夢

私は人生の節目節目に夢をみるその日は、節目の誕生日なので人生最期の夢となる予感がして覚悟して寝入ったまたしてもその人は夢にでてきた不思議なことに周囲は彼女を見守っていた周囲は彼女の名を呼んでいたそして周囲は私を見ていたそう、二人は、見守ら…

ある人の死

最近、ある人の、死を知った亡くなられる前亡くなられた後どちらにも兆候はあった最初の兆候は一年前にあった軒先を歩く姿を見かけなくなり通りがかった際呼ばれているような気がしたずっと入院されていたのだろう年が明け通りがかった際その建物周辺に何と…

銀座商店街の床屋のこと

先日、銀座商店街に行ってみた。昔の店は3分の1くらいはなくなっていた。銀座商店街の床屋に一度だけ行ったことがある。時期は十年前。場所も名前もはっきりしないが、この店だと思う。当時は床屋、今は理容室。娘さんがやっているようだ。銀座商店街の床…

床屋の想い出

振り返ると何軒かの床屋に世話になった記憶がある。小学生時代は銭湯の隣の床屋。新入社員時代は、街中のしゃれた床屋。本社勤務時代は、社屋にあった床屋。最近は自宅近くで済ませている。従って、何軒も変えている訳ではない。一度ここと決めたら、そう変…

外国旅行の想い出 上司の予言

時々であるが希望に満ちた時代の、外国旅行の事を想い出すそこでは石造りの建物が日の光を浴び通りの並木が風にそよぎ花が一面に咲き乱れ小川はゆっくりと流れていたそう いつもどおりそんな場所で見る夜空は綺麗だった夜空を眺め、自分は宇宙の中のちっぽけ…

芙美子ちゃんの想い出

芙美子ちゃんと、一度だけデートしたことがある。二人とも同じ年に卒業、まったく別の業界で働き一度も会ったこともない。連絡をとったこともない。ある人の紹介で、最近その消息を知り今も同じ苗字でとある業界の営業の第一線で働いていることを知った。律…

新橋の航空会館の想い出

仕事の関係で、新橋駅近く、内幸町にある航空会館の一室で2カ月間研修を受けたことがあった。入口が狭いビルだった。上の方に、航空機事故調査委員会の報告書などが読める部屋があったと記憶している。ビルには、当時と同じ店が今も入居している。ビルの周…

街角のラーメン屋の想い出

旭川の街角の中で美味しいと思っているラーメン屋がある。旭川ラーメンは濃いしょうゆ味で有名だが、そこは味噌味がいい。実は、もう一つ、美味しい理由がある。そのことを説明しようとして書いている。その店には、夕食時になると、日雇い労働者のような服…

消えた拓殖市場の想い出

市内では、市場と名のつくところは、廃市状態にある。そんな中、拓殖市場だけが最後の砦だった。そんな拓殖市場も1年前に店仕舞いした。入口右側の2店が鮮魚店、左側が果物店、奥の方に八百屋があったように覚えている。母に連れられた、奥の八百屋で野菜…

母が亡くなった夜

今年も例年のように母の命日が来る母が亡くなった夜私は、病院から降り積もる雪の中を車を走らせた雪は暗い闇のそらからあとからあとから降ってきた私は、前が良く見えず対抗車も前を走る車も見当たらず途方に暮れた雪はどんどん激しくなり仕方なく道路脇の…

妻に望むこと

6月に入り、一段と暖かくなった。皆さんの家の庭にも色とりどりに花が咲き乱れていることと思う。エジプトの若くして亡くなった王、ツタンカーメンの棺には、可憐な花が添えられていたそうである。最期の瞬間に、その花を柩に入れてくれた女性は、たぶん、…

母が掃除する夢を見た

実は、あることを調べている。一応調べられることは調べたが、あるところからまったく進まない。相当古いことなのでやはり難しいのだ。そんな中、不思議な夢を見た。自分が掃除している最中に、亡き母が現れ、洋ダンスを綺麗に掃除し消えた夢だった。私はタ…

ある夏の記憶

私の故郷であの人は今も昔と変わらない場所で生活している。ある夏の日あの人は、車庫を開け、車を車庫から出し、年老いた母親と買い物に出かけたのを偶然見た。車庫の扉を開ける若い娘さんのようなしぐさ母親と語らう優雅な後ろ姿ゆったりとした運転マナー…

M子の横顔 ラファエロの自画像

展覧会でラファエロの自画像と出会った。 その自画像を見ているうちに、ラファエロとうり二つの人物がいることに気づいた。それは、「M子」だった。横顔、鼻筋、唇は、M子そのものだった。黒光りする黒髪とすらりとした肢体彼女は、スペインやイタリアの女…

山の手線の駅での想い出

久しぶりに上京し、用事のついでに懐かしの地を訪ねてみた。 故郷の街とは大違いで、どこもかしこも様変わりしていた。あまりの変わりぶりにただただ、言葉にならなかった。あれから数十年が経過した。私がいて、あの人がいて、合格発表の日、私は大学構内の…

想い出の喫茶店

その喫茶店は、母に手を引かれて通った洋裁学校の通りの並びにあった。高校時代に開店し、毎年のように店の外で奇麗な鉢植えを並べていたことを私は覚えていた。店は、カトリックの修道女のような信心深そうな女性一人でやっていた。店の中は、全てが凝って…