遠い夜空のオリオン

幼馴染との淡い想い出を綴る私家版郷土史

2013-01-01から1年間の記事一覧

想い出の喫茶店

その喫茶店は、母に手を引かれて通った洋裁学校の通りの並びにあった。高校時代に開店し、毎年のように店の外で奇麗な鉢植えを並べていたことを私は覚えていた。店は、カトリックの修道女のような信心深そうな女性一人でやっていた。店の中は、全てが凝って…

ある小児科の想い出

私の母は、ある大病院の小児科の品田先生の大ファンだったので、38度以上の熱を出した場合は、私は必ずその病院に連れていかれた。ただ、その病院、突然、都合で先生が不在のことがあった。そんな時、病院の向かいにあった小児科に何度か通った。その病院…

毛糸の店の想い出

私は、小学6年生の時に、母にお願いして、あの女の子とお揃いのデザインのとっくりのセーターを編んでもらった。その時に母が毛糸を買いに行ったのがこの店である。 この店は、店構えも店の内部も当時のままである。あの女の子のセーターはピンク色で、私の…

本屋の想い出

私にとって本屋と言えばここしかない。だが、閉店した。確か5年前だったと思うが、閉店の張り紙があるのを偶然見つけ、雑誌を購入した際に、閉店記念のボールペンを頂いた。この店は、名前が富貴堂。良い名前だったと思っている。入り口左隣は、ヤマハでピ…

ボタン屋の想い出

街の中に今もあるボタン屋についての想い出を書きたい。 そのボタン屋は、問屋街の一角にあり、新装開店した直後だったらしく、店の中はいつも裁縫好きの女性で混雑していた。当時、私の母は、洋裁と和裁を習っており、作品制作のために、そのボタン屋に、月…

贈り物 Souvenirs

私は、「贈り物Souvenirs」という曲を何年も聴き続けている。この曲の作詞作曲は Dan Fogelberg。彼はもうこの世にはいない。だが、贈り物を残した。動画の中の絵は彼の作である。静かに川が流れ、日がゆっくりとのぼり、一日が始まり、そして終わる。人の一…

4月1日は入社式だった

入社式の日、実家から父が車を運転し駅に送ってもらい、そこから汽車に乗った。父に送ってもらったのは、これが最初で最後となった。車を降りる時に、父と母が頑張るんだよと声をかけてくれたこと振り返った時にに、手を振って別れたこと汽車の中で母がつく…

Double rainbow

「夕立がさあっと降った後で、虹が空の彼方に映る」その一瞬の光景を音楽にしたと思われる曲がある。「Double rainbow」である。作曲は、ボサノバの巨匠アントニオ・カルロス・ジョビン。この曲には歌がない。オーケストラ、ピアノ、ブラスセクションがメロ…

一枝ちゃんのこと

小学生の時に、最初に異性として存在を意識したのが一枝ちゃんである。品が良く、清潔感が一際目立った子だったが、人一倍潔癖症的な雰囲気が強すぎ、近寄りがたい人だった。だから、私は彼女に話かけた記憶がまったくない。それから10年後、大学生になっ…

今年の初夢は高校卒業式の早朝の夢だった。

もうすぐ高校卒業式の日がくる。今年の初夢は高校卒業式の早朝の夢だった。卒業式後に離れることになる街並みを一目見ておこうと夢の中の私は、早起きし、英語の本を持参、夜明け直後の街を歩いた。橋を渡り、市役所がある通りを抜けた。今まで一度も通った…

あの人にプレゼントしたい曲

故郷の想い出とともに孤高に生き生涯を終えるかもしれないあの人にプレゼントしたい曲がある。この世ではかなわなかった、結婚の曲あの世で、再び、幼馴染みの場面から出会い再び英会話学校再び高校で会うとことからやり直したい。あの人との結婚はかなわな…

あの人の想いを音楽にたとえると………

振り返ってみて、私は、あの人の気持ちをいつも裏切り続けていたような気がしている。何度も機会はあった。きちんと向かい合って、付き合えたはずだったが私には、あの人の存在は重すぎた。高嶺の花だった。そして、4歳のときに初めて出会いあの人があの場…

人生最初のレクイエム 母の死

水曜日は母の命日だったその日は、あの日と同じように雪がしんしんと降っていた静かなよるだったあの日の朝、母の容態が悪化し母は意識を失った母はついに帰らぬ人となった私に出来たことは母の手を握ることだけだった私は病院会計を済ませ遺体搬送を手配し…

悲しみは鐘の音と共に one less bell to answer

「one less bell to answer」という、男女の別離を女性の立場で嘆く歌がある。多くのシンガーがカバーしている中で、私は、本家の「The 5th Dimension」ものを勧めたい。悲しみをこらえ、淡々と歌い上げる、この曲は、日曜の午後6時からのNHKのFM番組…

想いと諦観

想っていてもどうにもならないことばかり書いてきた。人生はやり直しがきかない観客一人の冷酷な演劇だと何度も思った。そんな時この気持ちを代弁してくれる曲に出会った。 「さらに美しき音楽」という、イギリス人の作曲家ジョン・ラターの合唱曲である。荘…

夢と希望そして勇気

確か中学生時代、「雨に濡れても」という曲が流行った。何度聞いても飽きず不思議と心が安まる曲だった。聴きながら今日はダメでも明日は頑張ってみようという気にさせてくれる曲だった。頑張ろうという趣旨の曲は多いが頑張ろうとは言わずになんとなく夢を…

心のこもったピアニスト  子供の情景

クララ・ハスキルという女性ピアニストをご存じだろうか?才能あったものの若い頃はコンサートにて舞台負けし、ユダヤ人として迫害され、極貧の中を病と闘い、なんとか生き延び、晩年、世界的に有名になったピアニストである。http://ja.wikipedia.org/wiki/…

真冬の想い出

私は、小学校3年生の時、書道教室に通う悪友2人から、小学校の放送部に参加することを誘われた。そして、小学3~6年まで、アナウンサーまがいのことを実際に行った。選曲もナレーションも自分たちで行った。そんな時、気に留まったのがこのスケーターズ…

真希子ちゃんのこと

小学生時代、タレントのスザンヌと顔つき、体型が似ている女の子がいた。目はうさぎのような奇麗な目をしていた、生え際を強調したヘアスタイルだった。しかし、スザンヌと決定的に違うことが一つだった。性格が実にしっかりしており、対象を恐ろしいほど見…