遠い夜空のオリオン

幼馴染との淡い想い出を綴る私家版郷土史

ボタン屋の想い出

街の中に今もあるボタン屋についての想い出を書きたい。

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そのボタン屋は、問屋街の一角にあり、新装開店した直後だったらしく、店の中はいつも裁縫好きの女性で混雑していた。

当時、私の母は、洋裁と和裁を習っており、
作品制作のために、そのボタン屋に、月に1度通い、私はその買い物にいつも付き合わされた。

その店のレイアウトは、通りから見て、3列に商品棚を直角に配列し、一番左側がボタン棚となっている、そのレイアウトは昔のままなのだ。
その店がある通りを母に手を引かれ歩いていたとき、同じ年くらいの女の子が私と同じように手を引かれてあるいているのを何度か見かけ、「たった一度遊んだあの女の子」ではないかとその女の子の目をじっと見ていた自分がいた。

なお、このボタン屋には、私と同じ年の男の子がおり、英会話学校、塾、高校にてご一緒し、成績優秀で医者となられたと記憶しているが、数十年前と変わらぬ店の門構えを見る度に、同級生が凡そ商売屋やしからぬ風貌だったことを想い出すのである。