「one less bell to answer」という、男女の別離を女性の立場で嘆く歌がある。
多くのシンガーがカバーしている中で、私は、本家の「The 5th Dimension」ものを勧めたい。
悲しみをこらえ、淡々と歌い上げる、この曲は、日曜の午後6時からのNHKのFM番組で、何度もかかった、当時のヒット曲だった。
デイスクジョッキーは初老の方で名は石田さんだった。番組のオープニング曲は、ビリー・ヴォーン楽団「真珠貝の歌」だったと記憶している。
真珠貝の歌 ビリー・ヴォーン楽団
http://www.youtube.com/watch?v=TPFXbiG6Cpg
私にとって、当時、ラジオが唯一の情報源だった。
テレビはあったが、私の顔を見ては勉強しろとしか言わない、親と一緒にテレビを見るのが嫌で、部屋で一人ラジオを聞くのが唯一の楽しみだった。
新聞は、政府批判、説教調の文章が多く、私にはなじめなかった。
さて、「One Less Bell to Answer」という曲の歌詞は、中学程度の語学力でも理解できる。
この曲のハイライトは、
彼が去った以降、私の人生は空虚で
忘れようと思ってもできるはずもなく、
家のベルが鳴る度に、私の心は今だ躍る
という意味のフレーズ部分にある。
http://lyric.kget.jp/lyric/vh/pl/
歌詞の他の言葉は、ありふれていて、凡そ詩的であるとは言い難い。が、この部分だけは、なんとか詩の世界に踏みとどまっているような気がする。
私は、この曲を知ってから
女性に別れを告げる際、
別れのそぶりを悟られぬ様、細心の注意を払うようになり、
一度好きになった相手に対しては
自分が好きだった時があることを受けとめ、
相手の姿が自分自身の投影であると考え、
いつまでも好きでいたいと願うようになった。
実際、好きになった相手の容姿と自分の容姿にいつも共通点があった。
あの人の場合は、目および目の周囲の雰囲気とほお骨の周囲が、私とよく似ていた。
似ている理由について、あの人を意識した当初はわからなかったが、
家の近所に、あの人の親戚が引っ越ししてきて住み、その親戚の方と母が何かと世間話した関係にあったようで、母が、あの人の一族と私が、実は遠戚関係にあると知らせてくれたことがあり、私は納得した。
また、母の話によれば、母が育った場所の近所に住む、母の同級生の大半は、遠戚の可能性が高いとのことだった。
だから、似ているのは、偶然ではなかったということになる。
私の気持ちは今も変わらない。
誰に何と言われようと
永遠に好きでいたいのだ!