遠い夜空のオリオン

幼馴染との淡い想い出を綴る私家版郷土史

あの人の想いを音楽にたとえると………

振り返ってみて、私は、あの人の気持ちをいつも裏切り続けていたような気がしている。

何度も機会はあった。
きちんと向かい合って、付き合えたはずだったが
私には、あの人の存在は重すぎた。

高嶺の花だった。
そして、
4歳のときに初めて出会い
あの人があの場所で私の手を引き
一緒に遊んだ想い出だけは、どうしても残したかった。

私は、あの人の想いを何度も裏切った。

あの日も
そして別のあの日も

私は、あの人だとわかっていても
何もできなかった。

不甲斐ない私ではあるが、
今、振り返って、あの人の一途な気持ちを音楽にたとえると
マーラー交響曲第五番 第四楽章 
が当てはまるような気がしている。

他の良縁に
一切見向きせず
一途に自分の想いに従い
途切れることなく
どこまでも深い絆に満ち
この曲のような
冷めることがない情熱を
今も持ち続けていることに
私は応えるすべがない。

ただ、私は、この曲を想い出したように聴き続けることで、
あの人の内なる情熱の深さに
漸く気づきつつあるのかもしれない。


マーラー 交響曲 第5番から 「アダージェット」

ttps://www.youtube.com/watch?v=fuOmn3-lK9A