遠い夜空のオリオン

幼馴染との淡い想い出を綴る私家版郷土史

2015-01-01から1年間の記事一覧

卒業式の日に起きたこと

私は、この日を生涯忘れることはないだろう。私は、卒業式のあの日教室を一瞬覗きこんだあの人の悪戯っぽい横顔が気になり泣きはらしたあの人の顔を遠くから眺め眼の前にいた、あの人にさようならと呟き帰宅直後に鳴った電話の向こうで泣いていたであろう、…

若くして世を去った家具作家のこと

地元の家具作家の一点ものの作品を紹介するパンフレットを眺めているうちに実物を見ておきたい気になり電話した後、ある家を訪ねたことがあるその家の玄関先には飼い犬がいた私が訪問した時その犬は飼い主でない私でもわかるくらい人懐こそうに駈け吼えてい…

近江商人の娘さんのこと

ある地方版の記事から、同級生の娘さんが近江商人の一族だったことを知った。Wikipediaによれば近江商人は神仏への信仰が篤い規律道徳を重んじる各商家ごとに家訓がある徹底した合理化を採用とある。また、近江商人は、商人としての哲学があったようだ。****…

卒業写真の想い出

卒業写真撮影日の想い出を書く写真撮影日は、模擬テストの結果発表日だったクラスメートから予想もしない高順位であることを知らされ、私は職員室の廊下に張りだされた順位表を見に行った自分が思っていたよりもはるかに上位だった2年の担任の先生が成績上…

旭川の偉人 本のご紹介

旭川の偉人について書かれた数冊の本を紹介する。古い順からの紹介となるが、どれも絶版であり、入手が不可能となりつつある。ご関心ある方は、図書館などにて、ご確認いただきたい。 書名 旭川の人びと 旭川叢書第五巻著者 村上久吉発行 旭川市発行日 昭和…

旭川 懐かしい絵葉書のご紹介

あいわプリントという印刷会社が、絵葉書をシリーズで発売している。 タイトル名には 旭川街角スケッチ あさひかわ ささやく風景あさひかわ しばれる風景旭川街角風景 がある。 旭川街角スケッチは、昭和の時代の懐かしい建物の水彩画の絵葉書である。一セッ…

ふるさとの冬景色

ある晴れた朝私は、雪景色に染まった遠い山並みを眺めた山並みは昔のままだった丘も川面も昔のままだったあたり一帯は魔法にかかったように時が進むのをやめたようだった私にとってダイヤモンドダストも氷菓のように舞った雪もしもやけ気味の掌で融けた雪の…

夢に出てきた女性たちのこと

実は、最近、夢の中で二人の女性と思いがけず再会した一人は、たぶん拒食症再発で痩せたM子。もう一人は、中学時代の同級生だった女の子である。M子はとても寂しそうだった。黄色のコートを羽織っていた。夢では何も語らなかった。言いたいことがたくさん…

すべては過ぎ去ったこと

この曲を聞いていると、自分の前半生が凝縮されて歌われているような気がしているCanto para Nanã 小野リサ NaNã LISA ONO ttps://www.youtube.com/watch?v=GlZHy1nnhwcここで書いていること実は、本当に起きたことですそのことを知る人は私と他にあと一人し…

母が亡くなった夜

今年も例年のように母の命日が来る母が亡くなった夜私は、病院から降り積もる雪の中を車を走らせた雪は暗い闇のそらからあとからあとから降ってきた私は、前が良く見えず対抗車も前を走る車も見当たらず途方に暮れた雪はどんどん激しくなり仕方なく道路脇の…

母と子の絆  三好達治 乳母車

母の命日にふさわしい詩を一つ選んだ。三好達治の名詩に「乳母車」がある。この詩は、紫陽花、並樹、風、渡り鳥という自然素材を用い記憶の世界にある乳母車の視覚的イメージを最初に提示している。これらの素材をセットした状態で泣きぬれる夕陽つめたき額…

甃のうへ 三好達治

三好達治の詩には、他の詩人にない、写真のような鮮明な心象風景がある。言葉と凝縮した一瞬が微妙にマッチした、幻想世界でもある。たとえば、「甃のうへ」(いしのうへ)という詩。散りゆく桜の花びらと少女の一挙一動を重ね合わせ詩の一行それぞれが、京都…

場末のカラオケスナックの想い出

30歳の頃に起きたことを想い出して書いている。ある真冬の吹雪の夜ある場末のカラオケスナックにて隣に座った妙齢の女性から村下孝蔵の「初恋」を歌うことをせがまれた。最初は、断った。また、この曲のメロデイを知らないことを告げたのだが、その女性は…