遠い夜空のオリオン

幼馴染との淡い想い出を綴る私家版郷土史

母が亡くなった夜

今年も例年のように
母の命日が来る

母が亡くなった夜
私は、病院から降り積もる雪の中を車を走らせた

雪は
暗い闇のそらから
あとからあとから
降ってきた

私は、前が良く見えず
対抗車も前を走る車も見当たらず
途方に暮れた

雪はどんどん激しくなり
仕方なく
道路脇の農協倉庫の空き地を見つけ
吹雪がやむのを待った

吹雪のなかで
母の呼吸が停止し
さっきまであったはずの
その手にあったはずの
ぬくもりが
冷たい闇夜に
どんどん吸い込まれていった


私は言いような恐怖
と絶望を味わった