遠い夜空のオリオン

幼馴染との淡い想い出を綴る私家版郷土史

二人の典子ちゃんのこと

想い出の中に二人の典子ちゃんがいる。

二人とも転校生で、3年くらいして転校していった。

一人は、私のお気に入りの典子ちゃん。

背は、それほど高くはなく、ほっそりして、やや薄毛、色白で透き通った雰囲気。目は切れ長、眉毛は細く、首がやや長めの感じ。歯は特に白く、清潔さに限って言うと、この典子ちゃんに勝る人は、その後の人生において別の一人を除き、現れることはなかった。

オキシドールみたいな感じかもしれない。少し、悪女っぽいところがあり、それが、たまらなく魅力だった。

絵のモデルに例えると
キスリングという画家が描く雰囲気に近い。

http://ameblo.jp/kaigalin/entry-10227405489.html

大人になると、たぶんこんな感じになっていたのかもしれない。

もう一人の典子ちゃんは、明るく健康的で正直な典子ちゃん。

背格好は、最初の典子ちゃんとほぼ同じなのだが、こちらは骨太で、髪の毛が濃く、少しエラが張り、えくぼがかわいく、目が大きく、眉毛が太い感じだったような気がする。とても正直で、私が他の女の子に首ったけなのを知っていても、つい、私に好きだと告白してしまうところがあった。

もう一人の典子ちゃんは、そんなことはしない。
思っていても、決して言わない。冷たくひんやりした感じなのだが、それでいて、視線やそぶりで、なんとなく気持ちが伝わってくるところがあった。要するに、自然に目が合ってしまう感じ。

普通なら、女の子から好きだと言われれば、付き合おうとするだろう。

でも私は、そうはしたくはない。そうはしたくない理由がある。

自分から追いかけないと、何か、気分が乗らないというか、続かない気がするのだ。彼女たちも、私がそういうタイプであることを知っていたはずである。

結局、二人の典子ちゃんは、転校した後、行方知れずとなり

数十年が経過し

記憶の片隅に、二人の名前だけが残った。

典子ちゃんは、どこにいるのだろうか?
どんな人と結婚し、どんな生活をしているのだろうか?

と思いつつ

中学の卒業アルバムを閉じた…………