遠い夜空のオリオン

幼馴染との淡い想い出を綴る私家版郷土史

ちびまる子ちゃんそっくりな開業医の娘さんのこと

実は、小学校4年の時に転校していった女の子のことが、頭から離れない。

どうにも気になって仕方がないのである。

その女の子の家は、小学校の正面玄関前の開業医の娘さんで、髪型が、今になって思えば、あのちびまる子ちゃんそっくりの刈り上げ、いわゆる絶壁で、目がくりっとしてハキハキ話す子で、私もこの女の子とは、異性だという意識を忘れ、よく話しこんだ記憶がある。
ただ、この女の子の家は、小学校4年の時に、学校用地となる土地売却に伴い引っ越しとなったため、この女の子の消息はそれ以降まったくわからない。

ところが、世の中には偶然は尽きないもので、高校時代、この女の子と同姓同名の女の子、それも同じ科の開業医の娘さんに遭遇した。
私は、小学校4年のときの女の子の記憶があるため、その女の子には、好き嫌いを抜きにして、何か特別な縁を感じたものだった。
その女の子は、親から得た情報によって、現実に医者は患者を救っていない状況を知っており、純粋無垢な私に医学部受験をしきりに勧めた。が、当時の私には、有名医大受験は荷が重すぎ、結局脱落し、私は別の人生を歩むこととなり、その女の子との縁を自分から諦めたこととなった。
その女の子は、男としてこの人なら、さもありなんと誰もが思うであろう魅力的な人であるものの、今も独り身のようであり、かつて縁があった人が、どうしてそういう選択するのか、説明しようがない。
同様に、小学校4年の時に、ウマが合ったあの開業医の娘さんについては、かなり聡明で芯の強い女の子だったようであり、たぶん、今頃は、どこかで町医者になっていそうな気がしている。

ただ、小学校4年の時の女の子も高校時代の女の子もひょっとすると同じ人ではないかと今も思っている。
いや、そう思いたい自分がいると言った方が正解かもしれない。