遠い夜空のオリオン

幼馴染との淡い想い出を綴る私家版郷土史

相思相愛となる方法  「忘れられた日本人ー土佐源氏」

私は、恋愛上手ではない。

気位が高く気難しい自分が言うのはおかしな話だが、気位が高い人ばかり好きになってしまい、そのために人並み以上に悩んだ。

好きになる相手はというのは、実は異性に向けられた、自分の投影であることに気づくのは、この年になってからだった。

ただ、幸いにして、好きになった相手は、自分の事を嫌いではないことは、そのシグナルから気づいてはいた。
従って、すべては、自分の気持ち次第だったことになる。

さて、宮本常一という民俗学者が書いた一冊の本がある。「忘れられた日本人」という本にある、「土佐源氏」という一節に、「ばくろう」と呼ばれる、明治大正期の「牛馬の売買・仲介を業とする人」が、身分違いの女性(お方様レベル)に惚れた、色恋沙汰の話が書いてある。
それによると、要は、気持ちが通じ合えることが相手に伝わるかどうかがポイントなのだそうだ。

かくいう私は、好きな相手が自分を好きでいることがわかっていても、また壊れてしまうのではないかという恐怖から、気乗りしなくなる自分に辟易していた時代があったことは確かである。

それゆえ、私の場合は恋をしない時代を必要としていたのかもしれない。