7月15日は、初恋のあの子が、突然転校宣言した日だった。
私は、転校の一言を聞いて、愕然として言葉が出なかった。
担任もあの子も母も、あの子が転校することを知っており、私に知らせないようにしていたことを知ったからだ。
私は、転校の挨拶を済ませ、職員室に向う、あの子に何か言おうとしたが、言葉にならなかった。
それから、私は、塾行きのバスに乗り、帰りのバスで仲良しのK君があの子が転校することを私に話をした。
私は、K君まで私を気遣って、あの子の転校のことを私に知らせまいとしていたことを知った。
その晩
家についてから何もする気が起きず、
私は部屋で、ラジオのスイッチを入れた。
「夜明けのスキャット」が流れていた。
私は、ただ、時間が止まってくれることを祈った。
そして、いつのまにか
深い眠りについた。