遠い夜空のオリオン

幼馴染との淡い想い出を綴る私家版郷土史

M子のファッション

M子はある外国のシンガーソングライターそっくりだった。レコードのジャケットをみて何度もそっくりだと思ったほど。

 

 

また、何を着ても似合った。

今になって気がついたことだが、凝ったペアルックのコーディネートを得意とした。

 

冬に、私が黒のウールのコートを着ると、彼女もそうなった。
私がやや地味目のダックスのレインコートを着ると、ちょっと見かけないハイセンスのレインコートを着ているのを通勤時に見つけた。
夏に、私が白に細い黒のストライプの半袖のYシャツを着ると、彼女はもっとカッコ良い白と黒のストライプの仕立物のシャツを着て現れた。彼女の黒髪にとてもマッチしていた。
私が黒のウォーキングシューズを履くと、似たような上品な雰囲気の靴を履いていた。
私が灰色のストライプの背広を着ると、パンツスタイルでデパートのケーキコーナーに現れた。
私がイギリス製のウールの渋い雰囲気の仕立物の背広を着ると、渋い(艶消し)レザーのミニスカートとセーター姿で現れた。とてもセクシーだった。
当時、流行ったユニクロのセーターでさえ、彼女が着ると数万円のものに見えた。

 

本当に気があるのかどうか確かめる目的で、突然茶系のネクタイ二、に三本に代えたところ、彼女はZARAの新作の茶系のプリント柄のスカートで現れた。(滅多なことで女性の話をしない)職場の先輩が彼女のことをセンスの良い女性がいる褒めちぎったほどだった。

そして、次第に彼女の気持ちを知ることとなり、(ずっと隠し通してきた)自分の気持ちを抑えられなくなった。

 

が、彼女は、ゆっくり好きになって欲しかったようだ。