遠い夜空のオリオン

幼馴染との淡い想い出を綴る私家版郷土史

たった一言のせいで縁遠くなってしまった女性のこと

周囲の評価を気にしない人は
時に相手にもっとも辛辣な言葉を見つけ出し言ってはならない一言を発する。
そういう人には何を言っても無駄である。
意識しているかどうかは別として
一人の美貌の女性が目の前にいたとする。
その女性、もちろん美貌。スタイルも良い、頭の良い人だ。
育ちも申し分ない。
が、なぜか縁遠い。
誰も声をかけようとしない。
その女性について、女子高時代の噂を聞いたことがある。
相手を完全に打ちのめす言葉を吐いてしまったことがあったようだ。
その行為に尾ひれが付き、私も知ることになってしまった。
その女性は、言ってはならない言葉を語ってしまったようだ。
私は気がついている。
私と語り合った、彼女は二度とそういう言葉を吐かない人であることを
彼女は二度間違いを繰り返すほど、愚かでないことも。
が、もし仲が壊れてしまった場合
彼女は私に対して、言わないで済むことまで言うかもしれない。
なぜなら、その女性は
その時点時点で相手が生涯忘れない辛辣な言葉を見出すスキルがあるのだ。
別れが辛いのは、自分だけではない。
相手から見て最も辛辣な言葉を用意できる人と
なぜ交際しなくてはならないか。
私は答えが見つからず
同行し語りかけてくる
彼女の気持ちに薄々気がついていたものの
何も約束せず、彼女と地下鉄駅にて別れたのだった。