カザルスホールからの帰り道の想い出話である。
チェロのコンサートは20時過ぎに終わった。アンコールは数曲。演奏家のアンコールサービスに感謝しつつコンサート会場を出た。神保町から電車に乗車。満員状態だった。仕方なく、手すりを手をかけ立っていた。たまたま隣に立つ二人の女性と目が合った。コンサート会場で近くの席にいた女性だったように思う。女性の一人が、(私のことを覚えていたようで)手招きし席が空いているので座ったらいかがですかと勧められ無言で従った。
数駅通過し、下車する際、二人の女性に会釈して別れた。
そのうちの一人は、滅多にみかけることがない知性的な雰囲気の女性だった。
東京勤務時代、席を譲られたのは、後にも先にも、この一回だけ。
渋谷は東横線の始発。世田谷方面に行く田園都市線が通る。この路線に乗車する人たちは立ち振る舞いが違った。とりわけ、クラシックコンサート、特に、サントリーホール、オーチャードホールでみかける方たちは、バス停前での順番待ち含めてマナーの良い人たちだらけだった。
服装では靴、傘の趣味が良かった。感化されやすい私は、渋谷の東急東横店で鞄、傘、靴を買い揃えることとなった。
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