遠い夜空のオリオン

幼馴染との淡い想い出を綴る私家版郷土史

所作の綺麗な女性の想い出

陶智子の「日本人の作法」という本を読んでいるうちに、何度か二人きりで食事した女の子のことを想い出した。

 

 

所作は、服装、話し方、食の作法、人づきあい、マナーみたいなものと分類される。彼女の場合は、気分的に不安定な場合を除き、これらの所作はほぼ完璧だった。完璧過ぎて欠点を見出すことが難しかったくらいである。

そういう、彼女は学生時代、女性起業家のバンケッターの下でアルバイト(場所は地元の一流ホテル)していたそうだ。理想の異性を探し求めているうちにいつのまにか婚期を逃し、こんなことなら女性起業家の後を継いでバンケッターを経営した方が良かった。このままでは自分は職場のお局様になってしまうと何度もこぼした。
ただ、彼女の場合、バンケッターという職業経験と彼女の話を聞いて、結婚観が変わってしまった気がする。世の男が馬鹿に見えて仕方がなかったのかもしれないと思うに至った。

私からみて、彼女は、所作が綺麗なだけでなく、スタイルが良く、ファッションセンスも抜群だった。容姿については敢えて書くまでもない。所作が容姿に勝る人なのだ。一緒に食事していて、手の動き、箸さばきが綺麗な女性を見ることは心地良いものであることを初めて知った。
話題も豊富で、銀座の店で高いお金を払って飲むより、彼女にご馳走し話しした方が楽しいとも思った。

彼女に対し気がない訳ではなかった。独身だったら間違いなく彼女を選んでいた。出会った時期が少し遅かったこと、出会いは運だったと彼女に告げ別れた。それっきり彼女には会っていない。