遠い夜空のオリオン

幼馴染との淡い想い出を綴る私家版郷土史

桂子ちゃんのこと

不本意ではあったが本命ではない大学に入学することとなった。
同じクラスとなった女の子の中に桂子ちゃんがいた。
彼女は、その苗字から名刀を創る由緒ある一族が住む地域の出身。

今年1年の無事祈り旭川で名刀の研ぎ初め
https://www.hokkaido-np.co.jp/movies/detail/5293048520001
上記試し斬りの動画に出てくるような、表情的にキリリとした顔立ちで作法的にもまともだった。
彼女は、宴会、学祭、クラスのイベント、決まって私の仲良しグループにくっついて行動。
写真を撮る時も、仲良しグループの一員として収まっていた。
入学した年の夏までは、そういう状態が続いた。

秋になり、異変が起きた。
セーターを着て登校したある日、彼女から交際らしきことを仄めかされた。彼女はずっと告白する事を我慢してきたように見えた。が、私は、恋も付き合いも3年間はしないつもりだった。
彼女は、私の中で何が起きているのか、わからないようだった。
どうしても消し去るべき人がいたことを説明しても理解されないことだった。
私は、彼女のことは気心が通じる人だと思っていた。だから彼女の前では素直に振る舞った。

ただ、出会いのタイミングが悪すぎた。数年後、激務が続きの仕事帰りに出会っていたなら、迷いなく交際していたような気がする。
彼女は、文学少女、そして才女。
目立つ美人、セクシーな女性でもない。が、絶対に間違いがない。自分から事を荒立てるようなことはしない穏やかな人。
彼女は私にふられたと思っているだろう。しかし、違う。
失意の連続で、心の準備ができておらず、交際するためのタイミングが整わなかっただけだった。
だから、もしかして会う機会があったら、食事する機会があったら、その事を話さずにはいられないのである。