遠い夜空のオリオン

幼馴染との淡い想い出を綴る私家版郷土史

「オモチャのたもちゃん」が愛された訳

もうすぐ「オモチャのたもちゃん」が閉店して1年が経つ。

 

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この店が長年に亘り愛された理由が三つあると思う。

 

一つ目の理由として、買い物公園で配信される街頭放送の常連だったことを挙げたい。街頭放送にて連呼される「オモチャのたもちゃん」という女性の声を聴く度に、店に買い物に行った時代を想い出した。遠い昔に聞いた声と同じ声だったからである。

 

二つ目の理由として挙げたいのは、店の御主人がなんとなく幸せそうな雰囲気だったことである。老夫婦だけで店番をしていたことを閉店数年前になって知ったのだが、うとうとして椅子に座っているご主人の雰囲気に親しみを覚えた人が多かったのではないか。奥さんはいつも大きな声で元気一杯だった方のように思う。そんな雰囲気に誘われるように店に通った人が多かったのではないか。

三つ目の理由は、店で売っている価格設定のことである。昨今は、原油価格上昇の折、石油製品を中心に価格上昇が続いている。キャンプ用のカセットガス缶の値上がりが目立つ。数年前まで一缶600円台だったコールマンのガス缶が今や1000円近くに達している。先日購入したカセットガス缶の製造年月は2019年7月だった。定価600円台だったものを5割アップの定価に付け替えてその店は売っていた。メーカーであるコールマンは古いカセットガス缶の点検を推奨している。つまり、その店は点検時期が近づいているものを利幅を稼ぐために定価を付け替えて販売したことになる。
オモチャのたもちゃんはどうだったか。石油製品は扱わないが、何度か買い物した印象となるが、どうも仕入れた時点の定価でずっと販売していたようである。たとえば、昭和の時代にあった紙でできたおもちゃ(吹くと巻上がった先端部が前に飛び出すもの)は60円台で売っていた。あまりの安さに驚き数個まとめ買いした。女の子用のおはじき、昭和の時代に見かけたデザインのお手玉もあった。値段は安かった。誰も買わないので売れ残ったのであろう。

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けん玉もあった。どうみても同じ仕様のものに数種類の値段がついていた。店で見た時の値段は、1500円、1800円、2000円、2200円の品物(いずれもけん玉協会認定品)が店先にあった。袋を比較すると製造年月が古い物があったので、仕入れ時期の定価そのままで販売していたのであろう。

 

https://item.rakuten.co.jp/itemjapan/4580294612081/

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時代は変わり、こういうアットホームな雰囲気の店が買い物公園に復活するとは考えにくい。お金では買えない価値と個性を有した店だったことは忘れないようにしたいところである。