遠い夜空のオリオン

幼馴染との淡い想い出を綴る私家版郷土史

銀行の支店長の娘さんのこと

音楽教室に、ある地銀の娘さんが来ていた。
三つ編みがよく似合う、スラっとしたかわいい女の子だった。

あるとき、家に呼ばれて母とお邪魔してみると、そこは質屋の蔵のような広い建物の支店長社宅だった。
弟さんもいて、とても話しやすそうな一家だった。

銀行は給料が格段に違うのだなと子供心に思った。

それから、彼女に話しかけようかと思った途端、父親の転勤でいなくなってしまった。

短いお付き合いだったが、今でもあの銀行の看板を見る度に彼女のことを想い出す。