遠い夜空のオリオン

幼馴染との淡い想い出を綴る私家版郷土史

Brighter Days


私は、学生時代からずっと、好きな曲の一つに、Loggins and Messina の Brighter Days がある。
静かな情熱を胸に秘め、切々と歌われるこの歌は、単なる感傷を超越した感がある。

さて、この曲の雰囲気に似た歌が、日本の詩歌にある。

中原中也の「朝の歌」である。

http://www.aozora.gr.jp/cards/000026/files/894_28272.html

朝の歌

天井に 朱(あか)きいろいで
  戸の隙を 洩れ入る光、
鄙(ひな)びたる 軍楽の憶(おも)ひ
  手にてなす なにごともなし。

小鳥らの うたはきこえず
  空は今日 はなだ色らし、
倦(う)んじてし 人のこころを
  諫(いさ)めする なにものもなし。

樹脂(じゆし)の香に 朝は悩まし
  うしなひし さまざまのゆめ、
森竝は 風に鳴るかな

ひろごりて たひらかの空、
  土手づたひ きえてゆくかな
うつくしき さまざまの夢。
 


私の学生時代は、挫折の連続だった。
中途半端な恋で傷つき、第3希望の大学に合格はしたものの、どう生きたらいいのか答えが見いだせず、前向きな気持ちになれない時期が数年間続いた。

そんなとき、Brighter Daysを聴きながら、朝の歌を口ずさんでいる自分がいた。