遠い夜空のオリオン

幼馴染との淡い想い出を綴る私家版郷土史

予期せぬ死

顔を会わせる機会が多かった親戚の人が突然亡くなった
亡くなる日の早朝
容体急変したとの知らせを受け見舞いに行った
確かに、危篤寸前だった

 

しかし30分くらい経つと普通の入院患者のようになった
話をしようと思えばできた
が、無言で過ごすことにした
その日見舞い予定の凡その人数を知っていたので
負担とならないようほぼ無言で1時間半を過ごした

 

別れ際
その人は左手で何度も私に手を振った

もっと話したいことがあったかもしれないが、
話せば話すほど死期が早まることを知っていたので
話しかけることができなかった

 

案の上その晩、その人の訃報が届き
葬儀の手伝いをすることとなり
通夜、葬儀の間中
ずっと耳の奥でその人の咳払いが聴こえたのだった