遠い夜空のオリオン

幼馴染との淡い想い出を綴る私家版郷土史

祥子ちゃんのこと

オルガン教室に4年間ほど通った時期、同じ教室の女の子が近所に住んでいることを知り、母親同士仲良くなり、私は、祥子ちゃんの存在を知ることになった。
祥子ちゃんは、一人っ子。お父さんは学校の先生だったと思う。

目がくりっとして黒目がはっきりしていた、色白でおかっぱ頭のぽっちゃりした子だった。
普段から静かで、自分からあまり話そうとせず、いつも控えめな子だった。私はその女の子には、話しかけた記憶はない。

それから数十年後のある日、私は、中学校近くにある彼女の家に立ち寄ってみた。
家も門も表札も昔のままだった。

ほっとしている自分に気がついたのだった。