遠い夜空のオリオン

幼馴染との淡い想い出を綴る私家版郷土史

40歳の誕生日に見た夢

もう何年も前のことになるが、私は40歳の誕生日にある夢を見た。

誕生日をはさんで3日続けて、ほぼ同じ夢を3回見た。
それは、あの人が、目をはらし、さめざめと泣いている夢だった。

私は、テレパシーが強い方なので、あの人の想いがこういう形で伝わってきたのだと理解した。

私は、あの人のことがずっと好きだった。
あの人もそうだった。

だが、どうにもならなかった。
僕には高嶺の花だった。
好きだったが、気が重かった。

好きな人に嫌われるくらいしつこくできる人はいるだろう。でも私にはできなかった。
好きだという想いが壊れることがどれだけ辛いことか………
好きなものはずっと好きなままにしておきたかった。
だから、私は、成り行きに身をまかせるしかなかった。

年が明けた正月、気になってあの人の店を車で通りがかると
寂しげな外装色に塗り変わっていることに気がついた。
たぶん、あの人が色をきめたのだろうと、その時思った。

それから、その夢を見た日以降、私は妻に冷淡になってしまった。
妻にはすまないと思ったが、あの夢はどうしようもなかった。