遠い夜空のオリオン

幼馴染との淡い想い出を綴る私家版郷土史

高校時代の帰り道でのこと

私は高校時代、猛勉強した。
最難関の大学を目標としていたからだ。

勉強しないで成績上位になれる生徒は一人もいなかった。
みんな寸分を削る努力の中で、ミスを減らし、確実に得点する努力をしていた。

私は、当時、学校帰りは、頭を休めてから帰る習慣だったので、カトリック教会がある通り、歩行者天国になっている通りを抜け、デパートにある本屋さんで、参考書を読んでから始発の駅からバスに乗って帰ることにしていた。

あるとき、あの人が、小さなサイフを左手に持ち、ケーキ屋に入っていくのを見つけた。
当時、私は、夢中になっている女の子がいたので、無関心を装ったが、
はっとするほど彼女はかわいらしかった。

そのときから、女性というものはケーキ屋の前で別人のような存在になることを知った。