遠い夜空のオリオン

幼馴染との淡い想い出を綴る私家版郷土史

記憶の意味

かつて、私にも一時期、精神的に不安定な時期があった。
なぜ不安定になるのか、理由がわからなかった。

ある時、小さい頃母にメロンパンを買ってもらった小さな店の跡地を見つけ、その一角で立ち止まり、なつかしいたくさんの出来事があったことを思い出した。
それから、半年間、決まった曜日の午後に休暇をとり、故郷の街角を隅から隅まで歩き、どの場所でどんな出来事があったか繰り返し確認した。

そして、いつのまにか立ち直った自分に気づいた。

故郷はありがたいものだと、そのとき、つくづく思った。

(追伸)
精神的に不安定な人は、記憶が途切れているのではないかと思う。
今思うと、私は、実に運がいいと思う。
私の故郷は、小さい頃と何も変わっていないからだ。