遠い夜空のオリオン

幼馴染との淡い想い出を綴る私家版郷土史

イイ女のただ一つの欠点

私がある会社に勤めていたとき、多くの同僚がお手合わせ願いたいと思う、評判の女がいた。私もその女のことをイイ女だと思っていたが、ある事情で完全な無関心を装っていた。

あるきっかけで一緒に食事をすることになり、いろいろ世間話をした。彼女の話は銀座の店のお姉さんよりはずっと面白かったし、彼女は彼女なりに真剣でぐっとくるものがあった。
話ながら、彼女が身につけているモノの値踏みをしてみた。宝石、時計類は、どうみても数十万のモノで、平均的なOLの持ち物とは思えなかった。

そして、自分がその女と付き合った場合のことを考えてみた。
その時期は師走だった。何を贈ったらいいのか、何を贈ったら喜ばれるのか?
何もアイデアが浮かばなかった。

たぶん、彼女を真剣に射止めようとする男が現れないのは、そのせいなのかもしれないとそのときふと思った。