遠い夜空のオリオン

幼馴染との淡い想い出を綴る私家版郷土史

客の満腹そうな笑顔を愛した寿司屋夫婦

先日、用事のついでに、シュロス五条にある寿司屋に立ち寄った。

店先に閉店を告げる貼り紙があった。店主の健康により43年の営業に区切りをつけ閉店することにしたそうだ。
閉店時期は、ドアにかかっていたガス会社の紙切れなどから、正月明けあるいは昨年末だったようだ。

 

店は繁華街から少し離れ、目立たない場所にある。しかし、ランチのちらし寿司が評判となり、隠れた名店と言われていた。値段の割に、ネタが豊富かつ新鮮ということもあり、ランチの時間帯はサラリーマン、OLでごった返した。夜は、常連客が多かった。食べログなどでも人気店として知られている。

 

私は、評判の店だということを知らなかった。注文したのは、カツ定食などの丼物が多かった。ただ、仕事の都合で何度か昼食時に入った際、他の客に釣られ、人気メニューのちらし寿司を食べた。ここのちらし寿司は本当に美味しかった。

 

店主と女将さんにはいつも温かく客を見守る雰囲気があった。
店の入り口には、印象に残る、ちょっとした置物があった。
店の前の花壇には花が植えてあった。女将さんが世話をしていたのを何度か見かけたことがあった。

あさひかわ新聞で紹介されたこともあった。が、ランチ営業は報道されて暫くした後、やめることにしたそうだ。

閉店の3年くらい前、市内に宿泊した際、立ち寄ったが、ランチをやめたせいなのか客足が遠のいたような気がした。その時はさしみ定食を食べた。マグロは上等品だった。久しぶりに美味しい中トロを食べた気がした。

店主と女将さんは、客に美味しいものを振舞い、その満足そうな様子を眺めるのが愉しみだったような気がしている。

 

・2016年の店先

・2018年の店先


・2022年、閉店後の店先



 

良い店が亡くなるのは残念なことだ。
なお、同じシュロス五条には名店レベルの店がもう一店あった。こちらは15年くらい前に閉店、その後ネイルサロンが入ったが今は空き家のままである。