十五年くらい前の、幼馴染との再会をきっかけに、市内各所の写真を撮り始めた。
幼馴染には、(自分の方が少しでも)好きになればなるほど、うまくいかなくなることを、人づてに告白した。
相手とは相思相愛。相手は初恋。
しかし、私には、乗り越えるものがあり過ぎた。
こんな悲恋もあるのだ。
気持ちを整理しようと、想い出の場所を撮影することにした。
出生地から始まり、幼年時代、小中高校時代、過ごした場所を訪ね、通った道を歩いた。
そうやって、やっと、自分の人生を肯定できる気持ちになれた。
気に入っている場所は、旧ドレメ、市庁舎、昔からあるクリーニング店。どれも、絵葉書になっている郷土史上の名所。
カメラ越しに変わらぬ風景であることを確認する度に、ほっとする自分がいる。