一つ目は、軍都としての旭川市。第七師団史は、戦後あまり語られることはない。が、歴史経緯的に郷土史の一大構成要素のはずである。「旭川第七師団 復刻改訂版」という本が出ている。北鎮記念館に行けばそれなりの資料閲覧が可能。
二つ目は、大雪山国立公園の存在。行政管轄的に、大雪山国立公園の名峰が旭川市に属していないため、旭川市と関連づけて大雪山国立公園のことが語られることは行政文書的にはほとんどない。旭川市民なら、小さい頃から、北は黒岳から旭岳、トムラウシ、十勝岳連邦に至る山岳風景は、馴染みの光景だったはずだ。晴れた日に12号線で高砂台を通過した際、南北に広がる壮大な光景に、私は何度も励まされた。時代が変わっても、空気のような、それでいて心の風景であり続けた、大雪山国立公園のことが郷土史本の中でほとんど言及ないことは、残念なことである。
三つ目は、鉄道史。旭川市が北海道の地理的中心に位置していることから、鉄道史と関連づけて眺めることが可能である。蒸気機関車、電化の時代を経、廃線・廃駅が相次ぐ昨今、我々が育った地域環境を知ると、北海道は国鉄時代から鉄道王国であったことがわかる。近年、鉄道本の発刊が相次いでいる。ただ、旭川駅、旭川周辺の鉄道写真でこれら鉄道本に掲載されるものは少ない。そうなってしまう理由は、列車が走る風景写真でこれといったものが見当たらないためである。強いて言うと、冬の除雪車、貨物列車、塩狩峠付近の画像くらい。鉄道の拠点であるにしては鉄道写真的に地味な街なのである。