遠い夜空のオリオン

幼馴染との淡い想い出を綴る私家版郷土史

街角のラーメン屋の想い出

旭川の街角の中で美味しいと思っているラーメン屋がある。
旭川ラーメンは濃いしょうゆ味で有名だが、そこは味噌味がいい。
実は、もう一つ、美味しい理由がある。

そのことを説明しようとして書いている。

その店には、夕食時になると、日雇い労働者のような服装の若者が来る。
店に入るなり、店主に挨拶する。
そして、その日一日のことやニュースのことなどを話し始める。
仕事で相当苦労しているとみえ、店に来るとほっとする雰囲気のようである。
店主との会話が父親と実の息子のように進むー

私は、横でラーメンを食べているー

年老いた店主の、片づけものをする後ろ姿は、寂しげである。
10年前に見かけた、やや口うるさげな奥さんの姿が見当たらないのだ。

かくいう私は、10年前、相当落ち込ん年末のある日、この店でネギラーメンを食べた。

その日は、想い出の喫茶店の閉店を知った日でもあった。

水彩絵の具メーカーと同じ名前の喫茶店の想い出
http://kitaguninosora.blog.so-net.ne.jp/2013-05-25

その日は、食べながら、胸が一杯になってしまった。

ラーメンを食べ、そういう結果を導いた、前半生を回顧したー

あの日以降、進むべき道を間違えていたことを思い知らされたのであった。

店主夫婦は、私の雰囲気に気づいていたにはずだと思う。

店主と客、そういう雰囲気の店なのだ。
街角にある、古ぼけたラーメン屋に過ぎないのであるが、店主の醸し出す雰囲気が、別の意味で美味しさを醸し出すのである。

別に、特段の工夫がある訳でない。ただ、そこで食べると、仕事帰りに立ち寄った日雇いの若者と同じく、同席した私もほっとするのである。

その店が、どこにあるかは書かない。違いがわかる人は、夕食時に毎日のように通う、街角の一角の店だと言えばわかるだろう。

そういうラーメン屋が旭川には、至るところにあるようだ。

有名店ばかりが美味しいのではないのだ。
それが、旭川ラーメンが美味しい所以ではないか、と旭川っ子である私は思っているところである。