遠い夜空のオリオン

幼馴染との淡い想い出を綴る私家版郷土史

母の料理の想い出

母はお世辞にも料理が上手とは言えなかった。
本人も自覚していたようで、何年間か料理学校に通った。しかし、それでも美味しくならない。料理センスなのか味覚の問題なのかはわからない。

 

そんなこともあり、結婚相手については料理が上手な人と心密かに決めていた。が、料理が上手か下手か、どう見分けるべきかわからないまま結婚した。

結婚後の家内の様子から、料理のセンスは母親に由来するようであることがわかった。料理好きの家系に生まれないと料理は上手くならないらしいのである。

 

結婚後、母と家内の料理を比較するようになった。家内は、調理そのものは手早く、メニューが多種多様なのであるが、カレーライス、シチュー、鍋、おでんみたいなメニューになると大雑把な気がした。

母は、カレーライスは得意ではなかったが、シチュー、鍋、おでんは家内のつくるのよりも美味しかった。特に、寄せ鍋、茶わん蒸し、土瓶蒸しは母の方がだんぜん美味しかった。

 

すき焼き屋というと、五条通り9丁目の北西角地にすき焼き屋があり、ニ、三度入ったことがある。この店のすき焼きは母の味に似ていた。


母の作ったおでんは、六条中通りのおでんの店の味に近かった。女将さんは割烹着が似合う人で、煮込み過ぎない、素材を生かした味だった。女将さんからいただいた自費出版のエッセイ本は大切に保存している。
コロナで店に入る機会がなかなか見つからないのが残念である。