遠い夜空のオリオン

幼馴染との淡い想い出を綴る私家版郷土史

亡き母への贈り物

5月8日は母の日だった。
花屋さんの店先はカーネーションを買い求める人で混雑した。

私は、そんなことはしない。
花が庭にたくさん咲いている時期に霊前に何か置いても
口癖のように、もったいないと言う母の姿が目に浮かぶ。

 

母は行動的な人だった。
この人に会うと決めたら翌日には会いに行っていた。

だからわかるのだ。
あの世から、母の日にだけこの世に舞い降りたとして
家の中、庭を見てそのまま帰るような人ではなかった。

そこで
家の周囲の道路の花壇に
母が愛でた花の苗を植え
舞い降りたついでに辺りを散歩できるようにした。

 


今年も
カーネション代わりに植えた
家にあった花が咲き
忘れかけていた母の笑顔を想い出した。