遠い夜空のオリオン

幼馴染との淡い想い出を綴る私家版郷土史

Sound of Silence

名作映画「卒業」のテーマ曲である。
あのエレンは、私が一時期夢中になったある女性に少し似ていた。
目が大きく潤んでおり、ボニーテール風だった。
刑事もののドラマ、日本酒のCMに出演するあの女優によく似ていた。

私が、彼女の存在を知ったのは、初恋が破れて何カ月かたってからだった。
幸運なことに、向こうも私のことを嫌いではなかったが、とにかくうまくいかなかった。
そして、我慢できなくても続けるか、自分が我慢できなくなるかの決断を迫られるような気持ちが日に日に高まり、それが3年ほど続いた。

納得できなかったことは2つあった。
まず一つ目は、誰に対しても公平に受身であったことだった。つまり自分のほかに夢中になる男がいたとして、その男と付き合いだすと好きか嫌いかの感情なく受身でズルズル行ってしまうのである。イヤならイヤだと言えばいいのに、それを言わず、あるところまでいってから爆発?してしまうようであった。しかし、この出来事は何度か続き、その度に精神的消耗を強いられた。
もう一つは、相当なツムジ曲がりだったことである。嫌いな相手でも感情を出さずに受身になるくせに、私に対しては、駄々っ子のようにツムジ曲がりなことを続けた。

それでも私は、好きでいようとしたが、もうこんな状態を続けることはできないと決心し、別の女性と付き合うことで忘れようとしたがそれもうまくいかなかった。

そして、私に残された方法はただ一つ。

時間をかけて彼女を忘れ去ることだった。
彼女を忘れ、新しいスタートを切ることが私にとっての卒業のテーマだったのだ。

Sound of Silence

しかし、現実は、そんなに容易なことではなかった。