遠い夜空のオリオン

幼馴染との淡い想い出を綴る私家版郷土史

婚約の手続き

婚約は、相手と結婚を約束する手続きのようなものであるが、私の場合は少し違った。
婚約に至るプロセスにおいて、婚約しなかった別の異性に告知するか、別れるか、去るかの手続きが必要だと考えた。

一人目は小学校の同級生だった。私は、その人のことを嫌いではなかったが、あまり好きでもなかった。それでも誠実ないい人だった。
母が街に時計を買いに行った時計店に小学校の同級生(女の子)が嫁いでおり、その縁で彼女の住所を知り、手紙を書いてほしいということなので自分の近況を手紙に書いた。ほどなく、返事が来た。
しかし、どう返事を出していいか迷い、結納の指輪をその店で買うことでそれとなく返事していただくことにした。会って話しをするのは失礼だと思ったからだ。

二人目は中学の同級生だった。
彼女が信仰している教会に誘われ、何度か通った。皆さんからよりを戻し婚約することを薦められたが、もはやその気力はなかった。私は、過去、彼女に抱いていた想いをすべて断ち、きれいさっぱり忘れ去ることで、婚約できると考え、そのとおり実行した。

それから半年後結婚し、その正月、実はもう一人、しかるべき対応せざるを得ない人がいたことに気づかされるのである。