遠い夜空のオリオン

幼馴染との淡い想い出を綴る私家版郷土史

たった一度一緒に遊んだ幼なじみのこと

私には、一度しか遊んだことはないがいつまでも忘れない幼なじみがいる。
この幼なじみの家は、地元で有名な老舗の店だった。
ある時、父に連れられ、不思議な屋根の店に行き、その店のソファーで休んでいたところ、店の事務室から二人の女の子が現われ、店の中で一緒に遊んだのである。
ただそれだけのことなのだが、その女の子と遊んだ想い出だけは、何年たっても忘れることはなかった。

毎年のように、この女の子と遊んだことが繰り返し夢に出てきたからなのである。

そして、その女の子と高校で再開するのである。
私は、「あなたは私にとってただ一人の、幼なじみである」ことを告げようとしたが、私には、そう言い出せなかった。勇気がなかったのである。
しかし、彼女は、たぶん何かに気がついていた。