遠い夜空のオリオン

幼馴染との淡い想い出を綴る私家版郷土史

祖父の死

祖父が亡くなって数十年近く経った。
大学入学が決まった年の春、私は母に言われ入院中の祖父を見舞いに行くこととなった。
母からは、重病で余命いくばくもない、何も言わなくていいので、ひと目顔を見せて欲しいと言われた。

場所は、厚生病院の三階か四階の入院病棟。東芝製のエレベータだったように思う。エレベータの行先階の丸いボタンを押すと、エレベーターはゆっくりと上がった。3人用の病室の真ん中のベットに祖父はいた。祖母が傍で看病、私を見るなり、祖父は一瞬笑顔を見せた。

それが、祖父との最後の別れとなった。
厚生病院は移転し今の場所にない。ただ、あの仲小路を通ると、何十年も前のあの日、祖父が病院の遺体搬送口から運び出される光景が思い出されてくるのである。
病院周辺の写真を「我が青春のノスタルジー 旭川 昭和ノスタルジー」に見つけた。1961年の旭川市広報からの転載のようだ。
市街地上空からの写真.jpg