遠い夜空のオリオン

幼馴染との淡い想い出を綴る私家版郷土史

女の子が語った将来のこと

気になった女の子がいた。なんとなくうまく行きそうな気がしていることから、何度か声をかけ話をした。彼女にはあまり恋愛感情を抱いていない。
さんざん振り回した女の子がいたせいで、雰囲気的にうまく行きそうな女の子につい惹かれてしまうものなのだ。
その女の子が別の男と付き合っているという話を卒業式の数日後、知人から知らされた。
私は仕方がないことだと思った。別に付き合ったという関係ではないからだ。
彼女は進学先が内定しており、思い出づくりのための時間があった。
私は、スケジュール的に忙しく、彼女にかまっている時間はなかった。
そんな時に、偶然、街で二人連れで歩いている彼女を見つけた。
彼女は、私の目の前の見せる姿よりもずっと綺麗で魅力的だった。

負けたと思った。
私が通り過ぎたことに気づき、彼女は瞬間うつむき顔が真っ赤になりバツの悪そうな表情になった。
少なくとも彼女が私と居る時よりも数段綺麗に見えたこと、卒業式の日にある人の涙を見て、本当の自分の気持ちに気がついたことなどから、互いに別の道を歩むことになるだろうという趣旨の手紙を書いた。
ほどなく来た手紙には、彼女が考える将来設計的なことが繰り返し書いてあった。
私には、彼女の言葉の意味がまったく理解できなかった。
あれから数十年経ち、偶然、彼女が一人身であることを知った。
彼女なら、要領良くやりそうだと思ったのに。女心はわからないものだ。
Shenandoah - arr. James Erb