遠い夜空のオリオン

幼馴染との淡い想い出を綴る私家版郷土史

三度現れた女性の想い出

当時は意識することはなかったが
目の前に三度現れた、気になっている女性がいる。
聡明で、スラッとした、育ちの良さそうな女性だった。
最初に現れたのは高校時代だったと思うが、それ以前にどこかで見かけていた
かもしれない。
気がついた時には、見かけなくなった。
事情はわからない。
学校行事の際、駅のホームで見かけたことを覚えている。
そのうち、大学で見かけるようになった。
なぜか私と同じ学年だった。
それも気になる女の子に寄り添うように現れる。
隣にいる、この女性を再び誘って欲しい
再び声をかけて欲しいという雰囲気でその女性の側にいるのだ。
自分が試されているような気がした。
暫く恋をしない決断をしているにもかかわらず、である。
それから数年後、
東京に行く飛行機で一緒になった。
ひと目で私だと気づいたようだった。
しかし、気軽に声をかけるような旅ではなかった。
ある事で上京しなくてはならない、深刻な状況にあったからだ。
その時もその女性は、私の挙動を観察しているようだった。
いかにも聡明、誠実そうで美人
男としては申し分ない女性だった。