遠い夜空のオリオン

幼馴染との淡い想い出を綴る私家版郷土史

温泉街出身の女の子のこと

大学時代
恋だけはすまいと思っていたが
遠く離れた場所の温泉街出身の女の子
のことがいつも気になっていた。
一緒にいて気疲れしない雰囲気の子で
漫画に出てくる女の子そっくりだったこともあり、
気になるので声をかけてみた
が、その後、なかなか出てこない
たまに出てきたと思ったらすぐに姿を消す
それでいてちゃっかり進級している
不思議な女の子だった。
1年たち、2年たち、やがて姿を見かけなくなり
彼女の消息はわからないまま卒業した。
居ても居なくても、いつもなんとなく、気になった子だった。
講義室にいなければいないで気になり
居ればいたで何をしているか気になった。
他の女の子の顔は思い出すことはないが
その女の子の横顔と髪型は忘れない。
縁とはそういうものなのかもしれない。