遠い夜空のオリオン

幼馴染との淡い想い出を綴る私家版郷土史

荒井由美  「旅立つ秋」の想い出

荒井由美のアルバム「Misslim」の最後に、目立たぬように収録されている曲がある。

Misslim.jpg

なぜか、YOUTUBEにはアップロードされない。
法律を厳格に運用し、著作権使用料徴収にこだわるあまり、音楽の世界を目茶目茶にしている最たるケースかもしれない。

この曲は、知られてはいないが聞き継がれる点において、また、ミュージシャンにカバーされる点において、傑作である。

この曲が発表されて数十年経つ。が、今も、古さを感じさせない。色褪せないのだ。
荒井由美が新曲ですと発表しても違和感が起きない。

同時代、海外の女性が唄う失恋の歌があった。

Carole King - So Far Away
ttps://www.youtube.com/watch?v=ZkqEFVNNz3I

この曲を聞かれた記憶ある方は多いだろう。
曲としてはまとまっている。
が、荒井由美ほどの感動はない。

作品としてはいい。
ビジネス的に、多くの曲を書き過ぎたのだ。

ではこの曲はどうか?
ニューヨークの孤独を唄うシンガーソングライターとして知られた人である。

Laura Nyro - He's A Runner
ttps://www.youtube.com/watch?v=pFnSnPPOW_4

彼女は、一時期、私にとって精神的恋人みたいな存在だった。

彼女がライブで唄う声は、さらに悲痛である。

Laura Nyro - He´s a Runner (live at Fillmore East 1970)
https://www.youtube.com/watch?v=s1PnjCioP7E

元歌を自身がさらにデフォルメしてライブで唄う、その声を聞くと、何も言わず、抱きしめてしまいたくなる衝動に駆られる。

「旅立つ秋」は、多くは語らない。
もともとこの曲は、先行して発売されたアルバムに入っていなかった。ラジオの深夜番組の最終回のためにつくられたそうだ。

https://ja.wikipedia.org/wiki/MISSLIM
旅立つ秋 TBSラジオ林美雄パックインミュージック』が最終回を迎えるに当たって作られた曲。2番の歌詞がそのラジオ番組の終了を暗示させるような内容になっている。


夜明け前に見る夢 本当になるという

………………

秋は、木立を抜けて今夜遠く旅立つー


荒井由美が、この曲について、目立つ扱いをしてこなかった

この曲をこの時代に生きた人たちが聴いていたであろう、深夜放送番組向けに提供したことで
私は、この曲に、荒井由美の青春の真実を見るのである。