遠い夜空のオリオン

幼馴染との淡い想い出を綴る私家版郷土史

サクランボの木の想い出

そのサクランボの木は
ある女の子の家に行く途中にある

サクランボの木.jpg

私は
バスを降り
碁盤の目の区画を
一つ一つ通り過ぎた

サクランボの木は
北西角地にあった
当時は、木造二階建てのトタン屋根の家が
あった
最近、家は取り壊され
サクランボの木が残された

廻りは何もないので、毎年大きくなっていく
いつのまにか
果樹園にあるのと同じくらい
たわわな実をつけている

その恋はかなわなかった

すれ違いが多すぎ
私が去ることで
静かに終わりとしたのだ

その女の子の家には
再び行くことはない

用事のついでに
通り過ぎた際に
見かける
そのサクランボの木は
あの時も
そして今も
見守り続けているような気がするのである