江口日曜堂は知る人ぞ知る、画材の専門店。
「旭川 昭和ノスタルジー」
旭川最古の文房具店という店先の表示は伊達ではない。
現在の店主は二代目。
「旭川 昭和ノスタルジー」という本に出てくる店主は、年老いてしまったが、かつては眼光鋭く、自説にこだわる頑固ジジイのイメージそのものだった。
この店主、実は多種多芸で知られている。エベレスト登山に行ったと思えば、絵を描き、エッセイなども書く人である。私は店先でそのウンチクを聞かされたので覚えている。
また、油彩、水彩ともプロの画家が使うレベルの絵の具を置いている店だった。
実は、店主が言うことで覚えていることがある。
絵を描くのに、道具の使い方に「決まり」などない、と言い切ることである。自分は技法的に下手だとか上手だとか、そういうことも表現したいことと無縁であると、この店主は毅然と言い切るのである。
そういう店主の迫力に圧倒されつつ、画材を購入した人は多いと思う。
私は、ある画材をここで購入したが、まだ使ったことがない。
ただ、気になっていることがある。芸術学部があった、東海大学旭川校が数年前に閉校、江口日曜堂が納入業者だった関係で、当店が二代目限りで閉店とならないか、志の高い店が消えてしまっていいのか、気がかりである。