遠い夜空のオリオン

幼馴染との淡い想い出を綴る私家版郷土史

芙美子ちゃんの想い出

芙美子ちゃんと、一度だけデートしたことがある。
二人とも同じ年に卒業、まったく別の業界で働き一度も会ったこともない。
連絡をとったこともない。

ある人の紹介で、最近その消息を知り
今も同じ苗字で
とある業界の営業の第一線で働いていることを知った。

律儀でくよくよせず
さっぱりした性格が好感を持たれ
最初の職場にいたところをヘッドハンテイングされたようだった。

そんな私は一時期
芙美子ちゃんとなら
なんとなくうまく行きそうな気がした。
だから、デートに誘った。
芙美子ちゃんの方もそう思ったことを覚えていたようで
誰にも教えないはずの電話番号を私に知らせてきた。

案の上
電話は10分で終わるところ1時間続いた。
切ろうとすると話を繋がれ
何度も話が続いてしまい
切るに切れなくなってしまった。

そんな芙実子ちゃんは
退職後は里帰りするそうである。

私と芙実子ちゃんは、縁はなかったが
あの芙実子ちゃんなら
老いても良縁があるような気がして
数十年ぶりとなる
電話を
切った。