遠い夜空のオリオン

幼馴染との淡い想い出を綴る私家版郷土史

登下校の想い出

初冬のある日
あの通りを歩いた

その通りは
幼いときは母に手を引かれ
歩んだ道だった

高校時代になって
その通りを歩き
なぜか気持ちの安らぎを覚えたのは
そのせいだった

その通りを過ぎたところ、右手信号の向こう側に警察署が見えた
左には税務署があった

遥か数十年前の
雪降る朝
私はあの信号で待たされ
何度も遅刻しそうになった

すると
通り左の方から
紺色の学生鞄を右手に下げ
首をやや右に傾げ
コバルトブルーのコートを着た
人が歩いていった

信号のところで交差点を眺め
一瞬何かを確認し
右に曲がっていった

そんな冬が3年間続いた

私は交差点に立つ自分を見つけた
信号が変わり
歩き出す自分が見えた

私は自分を追いかけた……